東洋大学の創立者である井上円了の書作品を特集した特別展「紙と墨にこめたメッセージ」が開催されています。この展示は、井上円了の書作品を通じて、その主義・思想を感じることができるものです。 特別展「紙と墨にこめたメッセージ」は、井上円了の書作品を公開する特集展示で、今回は4年ぶりにリバイバルされ、特別展として開催されています。井上円了は、61年の生涯のうちに数多くの書作品を残しました。円了が本格的に書の制作を開始したのは、明治30年代初めのことで、この頃、円了が哲学館での教育活動とともに力を入れていたのが、全国巡回講演でした。全国巡回講演とは、文字通り、自ら全国各地に足を運び講演を行うもので、民衆に哲学を広めるとともに、寄付を募って、自身が行う教育事業の資金を集めることが大きな目的となっていました。円了は、ひとりでも多く寄付に応じてもらえるよう、各地で寄付してくれた人へのお礼として、自作の書を贈呈しました。このようにして揮毫された書は、旅先で目にした光景や自らの主義・思想を詩にしたもの、さらには、駄洒落を交えたユーモアあふれる歌など、バラエティに富んだ内容で、魅力的な作品が数多く存在します。今回の展示では、それら円了の書の中から、主義・思想が表れた作品を中心に年代を追ってみていきます。書を通して、時代ごとの“円了スピリット”を感じていただけたら幸いです。あわせて、本年は、円了が「精神上の師」と仰ぐ勝海舟の生誕200周年にあたることから、これを記念して、井上家旧蔵の海舟の書も公開します。書の制作を含め、円了の行動に大きな影響を与えた海舟との師弟の絆にも思いを巡らせながら、ぜひ、ご覧ください。
期間 | 2023年10月16日09時30分~2023年12月22日16時45分 |
場所 | 東京都文京区 東洋大学井上円了記念博物館 |
URL | https://www.toyo.ac.jp/news/20231018-10568.html |